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お母さんへ
こうやって、改まってお母さんに手紙を書くのは初めてかもしれません。
思えば、小さい頃からあまり素直に気持ちを伝えることが無かったかもしれないね。
小さい時はいい子のふりをして、反抗期になると今では考えられないほど本当にひどい罵声を浴びせてしまいました。
あの時は本当にごめんなさい。謝っても謝りきれないけれど…
今でも、「その言葉、一生忘れないから」と言ったお母さんの言葉が私も忘れられません。
どうしたら許してもらえるかわからないけれど、今は本当に後悔して反省しています。
ずっと、寂しかったんだと思う。
私が物心つく頃にはお母さんは女手ひとつで子どもたち3人を育てなくちゃいけなくて、小さい時から体調が悪くても一人で家で寝ていたし、お母さんがいない時間も長かった。
正直、小学生になってからはお母さんが優しくしてくれるから体調が悪いふりをしたこともありました。
クリスマスプレゼントに大喜びして、何をもらったの?と聞く従兄弟たちに、「うちは悪い子だからもらえないんだ」と言わなくちゃいけなかった時は、わかっていてももう少し子どもでいたかったな…なんて、なんだか虚しかった。
何かあれば叩かれ厳しく躾けられたし、他の家とは違うんだと自分で言い聞かせていた。
私よりも年が上でいろいろわかった姉兄もストレスだったんでしょう。
一番下の私はみんなから手をあげられ、弱いところを見せちゃいけないと、涙も見せない、すごく強がりな子になっていました。
もう少し大きくなると、私もそんな状況に反抗して
過去のことや、9がんばってもできなかった1を叱ることしかしないお母さんに、どうして、とイライラしたり憎く思ったり…
荒れていく姉や兄も家も大嫌いで、外にいる時の方が自分らしくいられた。
家にいてもイライラするばかりで、お互い罵るようなことばかりで、そんな自分も大嫌いだった。
『このままじゃ自分がだめになる。お互い素直になれない、認め合えないままだ』
そう思って、アルバイトで一人暮らし資金をためて、就職と同時に家を離れました。
一人暮らしは本当に快適で、実家にいた時よりもずっと安心してくつろげたし、何よりイライラしたり嫌なことを言ったり聞いたりしなくてすんだ。
夢だった仕事にも就いて、自分で稼いで自分の力だけで生活をしていけることがすごく嬉しかった。
でもそれと同時に、お金を稼ぐことや生活をしていくことの大変さを思い知りました。
一人になって、いろいろと考えるようになって、3人の子どもたちを抱えてお母さんがどれだけ苦労したのか…想像することしかできないけれど、すごくすごく…大変だっただろうと思いました。
仕事に疲れきって帰ってきて、夕飯も食べずに倒れこむように眠る自分…
お母さんは、必ずおいしい夕飯を作ってくれていた。
体調を崩して、何日も寝たきりで仕事を休んだ自分…
お母さんは、子どもたちを抱えて体調を崩す暇も無かった。
子どもの時のことを思い出すと、辛かった、悲しかった、甘えられなかった、そしてそれを我慢していたことばかり思い出していたけれど、考えると…お母さんは私たちにできるだけいい環境を与えようとがんばってくれていた。
小さい時に住んでいた小さくてボロボロの家から、落ち着いて勉強ができるようにと一生懸命働いてマンションに引っ越してくれたり、いい経験をと、習い事をさせてくれたり、知り合いの民宿に泊まらせ海に山にいろんな場所に連れて行ってもらったり
夢だった仕事に就けたのだって、希望の学校へ通わせてくれたから。
お母さんは、私たちに弱いところを見せたりしなかった。
今思うと、子どもたちを抱え、どれだけのプレッシャーを感じていたのか…
私たちに厳しかったのも、父親の役目も担わなければいけなかったから。
ただ、愛情表現が器用にできなかっただけで…
いつでも、子どもたちのためにと必死になってくれていた。
お母さんの気持ちも分からず、たくさん反抗して、傷つけて、ごめんなさい。
気付くのが本当に遅くなってしまったけれど
お母さんのことを本当に尊敬しているし、感謝しています。
いつまでも心配や迷惑をかける子どもたちでごめんなさい。
私もいろんな経験をして、いろんな人に出会って、少し大人になりました。
今ならお母さんの愚痴も聞けるよ(^-^)!
顔を合わせるとなかなか素直に言えないけれど
ここまで育ててくれて、本当にありがとう
これからは、お母さんに恩返ししていかなきゃね!
そのためにも、いつまでも健康で元気でいてください。
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美帆より
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